ザ カワイイ ビジョン 〜 新たな抽象性を求めて

第6回フォルマ・フォロセミナー

真壁 智治

Tomoharu Makabe

2期/プロジェクトプランナー

日時: 2012年4月21日(土)16:00〜18:00
場所: 武蔵野美術大学新宿サテライト
討議: 難波 和彦(建築家)
討議: 松田 行正(デザイナー)
司会: 岩岡 竜夫(16期/東京理科大学)

桜もすっかり散ったというのにまだ肌寒い曇天の土曜日。おなじみ新宿サテライトにて、2期生の真壁智治(まかべともはる)氏を迎え、「ザ カワイイ ビジョン〜新たな抽象性を求めて」と題された第6回フォルマ・フォロ・セミナーが盛況の内に実施されました。

セミナーも第6回を迎える中で講演テーマも多岐に渡り、貴重なアーカイブとして蓄積が進んで来ている実感があります。
今年度より、ムサビ在学中の学生で会費を支払い済みの準会員には、無料で受講できる「セミナーパス」を発行することとなりました。
年2回の貴重な機会を是非活用してもらいいたいと思います。

 

第一部はトレードマークの帽子で登場された真壁氏による90分の講演です。

 

昨今建築においても良く使用されるようになった「カワイイ」という表現。

それ以前からあった平仮名の「かわいい」との違いは何なのか。

「本能・直感」によるものと「学習・情報」により得られるものの違い。

社会化が進む「カワイイ」。

「カワイイ」に関する様々な考察を、概念図を駆使して丁寧に説明して下さいました。

また、「カワイイ」の対極に「モダン」を挙げての比較も興味深いものでした。

 

「カワイイ」の構成要素として「輪郭」や「余白」「固まり」「気配」などの言葉が並び、普段漠然と「良い空間」について考えていることの多くに共通点がある事に気づきました。

 

また、手書きで塗られた概念図や、「脳内図式」をきれいな線で書かれたスケッチなども、見ていて嬉しくなりました。
真壁さんといえばお茶の水美術学院の講師時代にカリスマ的な人気を博した方で、「代ゼミ造形学校組」だった私は初めて真壁さんの線を見たわけですが、なるほど!と。

 

沢山のスライドを使用しながらも奇跡のように90分丁度で第一部を終了され、講演の構成力も素晴らしいものでした。

 

第二部は建築家・難波和彦氏と、デザイナー・松田行正氏を加えての鼎談となりました。

難波さんからは、「カワイクない建築家ナンバです」などのジョークもまじえ「カワイイとモダンを二元論で語る語り口が、すでにモダンである」というツッコミや、カント哲学を引用しながらの知性溢れるお話を。

松田さんからは、業界は異なれど「カワイイ」に関して同じような現象があること、日本文化とは「中空構造」であり周辺からの影響を許容する柔らかいものだということ、など違った視点からのお話を。

 

真壁さんによる誘導(?)も見事で濃厚な30分となりました。

 

終了後の第三部=懇親会も盛況でワインもビールも売り切れ御礼となりました。

パネリストのお三方、お運びいただいた皆様、会場をいつも快くお貸しくださっているムサビサテライトの皆様、そして会場の準備・受付を見事な連携で手伝ってくれた東京理科大学岩岡研4年生の皆さん、ありがとうございました。

なお最後に、真壁さんより「渋谷ヒカリエへの連絡通路が何か不思議である。」といったお話がありました。

これは是非行ってみなくては!(内藤廣さんの設計だそうですよ!)