当事者として建築へ向き合う
第14回フォルマ・フォロセミナー
宮崎 晃吉
Mitsuyoshi Miyazaki
建築家/株式会社HAGI STUDIO 代表取締役
日時: | 2018年4月22日(土)16:00〜18:00 |
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場所: | 武蔵野美術大学デザイン・ラウンジ |
対談: | 小津 誠一(23期/日月会会長/有限会社E.N.N.代表) |
司会: | 石井 健(26期/日月会副会長/ブルースタジオ執行役員) |
第14回フォルマ・フォロセミナーでは、昨年のブルースタジオの大島さんに続き、リノベーションという手法で建築の再生やまちづくりに活躍するHAGISOやまちやどhanareなどを自ら経営もされている宮崎さんをお迎えしました。
参加者してくださったのは40名ほど。
宮崎さんと小津会長は、シンポジウムで対談したことからのご縁。そこから交流を深め、リノベーション関係の集まりなどでもご一緒する機会が多く、今回ご登壇いただくことができました。セミナー登壇者に武蔵野美術大学以外をご卒業された方をお迎えするのは初めてなので、宮崎さんはそこをしきりに気にしていらっしゃいました。2008年に東京藝術大学大学院修士課程を修了され、磯崎新アトリエ勤務を経て独立。現在に至るお仕事を始められました。
セミナー前半では、宮崎さんが谷中の町に深く関わるようになった、きっかけと経緯をお話くださいました。
宮崎さんが学生時代を過ごされた1955年竣工の木造アパート「萩荘」は東日本大震災をきかけに解体することになりました。2012年住人が行った建物の葬式「ハギエンナーレ」に3週間で1500人が来場。その実績をうけて改修を大家さんにご提案したところ、OKをいただき、『最小文化複合施設』HAGISOが誕生。オープンイベントで救急車やパトカーが出動したり、開業当初は客足もなかなか伸びず色々とたいへんだったそうです。
それでも6ヶ月を過ぎた頃から来場者も順調に増え、メディアで紹介される機会も増えて、HAGISOは地域の核として育っていきました。
2015年にはご自身の海外体験をもとに、宿泊施設hanareを開業。空家として10年放置されていたアパートをリノベーションしてつくったホテルは「まちに泊まろう!」をコンセプトにし、すでに地域に存在しているコンテンツをネットワークさせ、まち全体の新しい価値を創出しています。
宿泊者はまちに飛び出し、まちを体感することで価値を見出します。
すべてがそろっている施設に宿泊する「付加価値」ではなく「負荷価値」を楽しむ。
HAGISO、hanareの実績をうけて町の人から信頼され、仕事の幅やネットワークも着々と広がっているそうです。「まちあかり舎」という活動も立ち上げ、建築の仕事だけではなく、今ではこれらの施設やネットワークの中にいる人々の日常をデザインしているのかもしれない・・・と結んでくださいました。
後半は、宮崎さんと小津会長とのトーク。
小津会長は阪神大震災がきっかけで設計事務所を辞めて、建築をやりながら飲食や不動産業も生業としているということで、東日本大震災をきっかけに磯崎新アトリエを辞めて現在の幅広い仕事へと展開させている宮崎さんにたいへん共感するところがあるのだが、そもそもなぜ美大で建築を学ぼうと思ったのか・・・という話題に。
尊敬する先輩の影響で代ゼミの造形学校に通ううち、そこがあまりにも面白くて美大をめざしたという。在学中に谷中のまちづくりに関わったことがとても印象的で、建築以前のそもそもの前提、仕事をつくるところからデザインするというところに興味をもって今に至っている。モノよりも人のほうがお宝で、それが連鎖していくことを一番大事にしながら進んでいる・・・と。20年近く世代が違いながらも、これからの建築家のあり方、仕事への関わり方などについても語られた対談となりました。
終了後、会場での懇親会。松家さんによる乾杯の後、参加者の皆さんとの交流に盛り上がりました。そして別会場での二次会。夜遅くまで語り合った六本木の夜でした。
今回も大学のカリキュラムスケジュールとの兼ね合いで、現役生が参加しづらかった点が悔やまれます。宮崎さんの活動拠点である谷中に赴いて、活動の一端やまちの動きを感じてもらえればと思います。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
デザインラウンジのスタッフのみなさま、たいへんお世話になりました。