私の《モダニズム》批評、その後

第3回フォルマ・フォロセミナー

長谷川 堯

Takashi Hasegawa

建築史家

日時: 2010年9月4日(土)16:00〜18:00
場所: 武蔵野美術大学新宿サテライト
対談: 大嶋 信道(17期/大嶋アトリエ)
司会: 岩岡 竜夫(16期/東海大学)

建築の歴史を解説する長谷川堯先生

9月4日に開催された第3回フォルマ・フォロ セミナーは、建築家・村野藤吾の研究家でも知られる建築史家の長谷川堯先生を迎えて行われた。

 

第一部のレクチャーでは、村野建築の作り方やその思想について、長谷川先生の持論を披露していただいた。

 

「村野さんの建築の作り方は、実現する建築がそれを所有する人や目の前を通りすがる人に対して、何らかの圧迫を訴えることを嫌っていた事が見える」
「村野さんにとって建築とは、自分の主張を表現するものではなく、そうならないためのデザイン手法を編み出してきた」
「村野建築はなぜかわからないけれど心地よい。なんかいいと感じさせる」
「建物を物で終わらせない意図を感じる」
など村野建築を評価する。

 

また、長谷川先生は「村野さんには当時常識とされていた歴史観ではない時空概念を持っていたのではないか」と指摘。モダニズムを最終到達点と考えるのではなく、また、歴史は淘汰されて新しい様式が生まれるのではなく、時代毎の様式は現代までつながっているという概念を持っていた。村野氏独自の時代の価値観がそのまま村野建築に現れているのだという。

 

さらに、21世紀以降の現代建築に関しては、
「Cubism」「Tubism」「Naivism」「Vernacularism」に分けて説明できるとし、長谷川先生はフォルムの内側に迫る「Tubism」に可能性を見いだしてみたいと語った。
なかでも、伊東豊雄氏の建築には一目を置いているそうだ。

 

大嶋信道氏(大嶋アトリエ)

セミナーの第二部では、長谷川先生の教え子でもある大嶋信道氏との対談が行われ、長谷川先生の印象的な著書の隠された秘話について解説された。

 

レクチャーを聞き入る参加者

会場には約90名の参加者が集い、長谷川先生の退官以来の白熱講義に熱心に耳を傾けていた。
セミナー後には同会場で懇親会が行われ、OBOGの交流が図られた。

 

武蔵野美術大学校友会副会長の松家克氏の挨拶

世代を越えた交流もセミナー参加の魅力のひとつ

長谷川先生のサイン入りポスターを持つ日月会会長更田邦彦氏

次回のフォルマ・フォロ セミナーは来年の4月開催予定。
詳細はホームページにて公開していきます!