里山からはじまるリアルな物語

第15回フォルマ・フォロセミナー

岩佐 十良

Toru Iwasa

株式会社自遊人代表取締役/クリエイティブディレクター

日時: 2019年4月20日(土)16:30〜18:30
場所: 武蔵野美術大学デザイン・ラウンジ
対談: 小津 誠一(23期/日月会会長/有限会社E.N.N.代表)
司会: 石井 健(26期/日月会副会長/ブルースタジオ執行役員)
挨拶: 鈴木 明(10期/武蔵野美術大学建築学科主任教授)

2019年4月20日、第15回となるフォルマ・フォロセミナーを開催いたしました。『里山からはじまるリアルな物語』と題して、株式会社自遊人代表 岩佐十良さんにご登壇いただきました。
 
従来は、雑誌やインターネットを中心だったメディアの役割が、近年は多様化してきており、その価値を的確に捉えることは容易ではありません。こうした状況の中でメディアの価値とは何なのか、岩佐さんが武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科在学中から、雑誌編集者の立場でメディアをどのように捉えてきたか。そして、雑誌編集、食品販売、宿泊施設経営など多岐にわたる「リアルメディア」をどのように体現しているか、メディアの価値について実践と経験から語っていただきました。

 

フォルマ・フォロセミナーの企画者である鈴木主任教授の挨拶から。


 

ムサビ在学中に独立、その後旅館やホテルを紹介する旅行専門雑誌「じゃらん」や「東京ウォーカー」を編集者として携わり、「豊かな暮らし」を追求するメディアとして、旅と食の雑誌「自遊人」を創刊されました。

 

「東京ウォーカー」を編集していた経験から「これからは、ものの本質が問われる時代になる」と気付き、「食」を伝えるためには本当においしいものを知らないといけない、と米づくりを学ぶために新潟に移住。「リアルな場が一番のメディア」として、これを伝えることこそメディアとしての役割なのではと考え、メディアの価値の本質についてお話されました。

 


 

里山十帖、箱根本箱、大津百町など、実際のプロジェクトをベースにリアルメディアが空間・地域・食と幅広く広がっていく過程を丁寧にお話される岩佐さん。事業のすべてを、企画から運営まで一 気通貫で関わって、「空間」 「食」「人」のディレクションをしている。きめ細やかな岩佐さんのディレクションは「感動」として来訪者に還元され、これが「リアルメディア」としてのメディアの価値なのでしょう。

 

岩佐さんと小津会長とのトークセッションでは、里山十帖の立上げ当時の苦労話も語っていただきました。苦悩を感じさせない岩佐さんの語り口調は、クリエイティブな発想への期待や楽しさ、新しいムーブメントをつくることへの信念が感じられました。

 


 

セミナーには日月会会員のほか、一般の方々を含め50名を超えるみなさんにお集りいただきました。
参加者は建築だけでなく、様々な分野で活動されている方々も多く、岩佐さんの活動や思想はみなさんにとっても、とても興味深いものであったと思います。

 


 

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
デザインラウンジのスタッフのみなさま、たいへんお世話になりました。