ムサビ主催シンポジウム「ワークショップで学校と地域は変わる」報告

武蔵野美術大学主催 造形ファシリテーション展示会・シンポジウム「ワークショップで学校と地域は変わる」は、1月27日から29日までの3日間、新宿サテライトで開催された。

教員、学校で美術教育の活動をするNPO、美術館関係者などが多数参加

今年度にムサビ生が取組んだ造形ワークショップの成果の数々が展示された

最終日のシンポジウム「ワークショップで学校は変わる」では、中学の美術教諭、文部科学省教科調査官のほか、三澤一実氏、長沢秀之氏、米徳信一氏のムサビの教授陣が登壇した。パネリストのひとり、東大和第二中学の美術教諭である未至磨(みしま)明弘氏から紹介された「ムサビる! あやしいやつらがやってきた!!」は、昨夏、東大和第二中を舞台に行なわれ、建築学科の学生もインスタレーションとワークショップのプログラムで参加していた。

http://tabimusa.exblog.jp/13223291/

シンポジウムの論点は、学校教育における造形ワークショップの実践を取り上げ、造形ワークショップが何をもたらしたのか、その成果と可能性を探るというものだった。来場者を交えたディスカッションでは、共同作業によるグループダイナミクスがあげられる一方、自我を呼び覚ます手法としてもワークショップの有為性が上げられた(「エゴになってこそ他人とコミュニケーションをとりたくなる」という意見はなるほどなと思わせた)。こと学校教育においては、授業や課外活動を通し、生徒や教員、かかわった学生、そして地域の人たちに至るまでその影響は及ぶと報告があった。

一方、学校現場において、造形ワークショップは必ずしも歓迎されていないようだ。授業の一環ともなれば、なおのこと、時間や場所のほか、多忙な教員をとりまく多くの制約の中で実践しなければならず、しかも今までの評価軸にはおさまりきらないワークショップの採点は教員を悩ませる。

このような学校教育の現状を鑑み、美術やデザインの学びの現場に、ワークショップという手法の可能性をどうしたら広められるか、広報を担う米徳氏がその重責を語っていたが、その効果的な方法は模索中のようだ。

「旅するムサビプロジェクト ムサビる!」では4年間に全国の小中高校20校を旅した

美大が学校教育や地域の中で果たす役割は重要さが増していると思う。「ムサビる!」の報告が証明するように、美大が間に立つことで現場の美術教員をサポートし、学生にも社会の中での生きた学びの機会を提供できる。造形ワークショップという学習方法とともに、美大の価値そのものが、キャンパスを越えて広がることを期待したい。[18期 朝比奈]

 

 

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