去る10月30日(土)、迫り来る台風14号の中、日月会シンポジウム「日月進歩・第1回」が開催されました。
今回が第1回目となるこのシンポジウムは、日月会の「ホーム・カミング・デイ」(芸祭期間中に建築学科OBOGが母校に集まる機会)の復活企画として計画されたものです。
第2回「断面展」(OB作品展のことで過去1996年に開催された)の開催という企画から出発して、執行部会ならびに(仮)代表者のフォロの協議を重ねながら「建築学科創立50周年に向けて 日月会が何をすべきか?」を考えていくための機会として、その開催準備が進められてきました。
台風14号の接近に伴い芸祭自体の開催が危ぶまれる中、当日の朝、芸祭の開催決定を受けて、日月会「ホーム・カミング・デイ」も開催決定!
ホームページでその旨を発表し、執行部メンバーが会場の建築研究室に集まり準備に取りかかる中、 芸祭実行委員会から「午後2時をもって芸祭を中止する」旨の発表が・・・
それでも助手の長嶋さんの交渉により、何とかシンポジウムのみは予定通り(13:00~16:00)開催できることになったのでした。
そんな経緯がありながらも、学生を含めた20名ほどの参加者を集め、パネラーとしてお越しいただいた、小倉康生さん(18期)の司会のもと、第1部では、竹中司さん(28期)、笹口数さん(20期)、串山久美子さん(15期)、真壁智治さん(2期)の順番でそれぞれのプレゼンテーションが行われ、第2部では「自分の活動とムサビ建築との関わり」といったテーマを前提に、淡々としながらも熱いクロストークを展開していただきました。
今回は、企画側の意図として「直接建築の仕事をしていない方に、現在の活動とムサビ建築学科で学んできたこととの関わりについて語っていただきたい」という趣旨もありこのような人選とさせていただきましたが、それぞれパネラーの皆さんのお話がホントに面白く実に勉強になりました。(私だけではないはず)
日月会にはすばらしい人材がたくさんいらっしゃること、そして改めて日月会の奥の深さを実感した次第であります。(会長の資質として失格!)
以下、クロストークの中での皆さんのお話の一部(極めて断片的)を紹介します。
小倉:現在の都市の魅力はなんなのか? 最近の建築は、環境・人間からどんどん遠ざかっているように思うが・・(問)
竹中:現在都市解析はますます進んでいるが、その使い方が曖昧。デザインという行為の中に工学が必要とはなるが、それらは最終的にヒューマンなところへと戻っていくべきである。
ムサビ自体がイノベーションな環境であり、学生自らそれを失わないようにすべきだと思う。
笹口:情報を何かに置き換えてそれをいかに消していくか・・といういことが今の自分の表現方法。その抽出の仕方に私個人の経験が大きく作用している。
ムサビには4年間を通して設計の授業があり、それらをこなす中で情報を統合するといった経験が築かれたように思う。
串山:場を作る装置を作っている。そこで繰り広げられる、装置と人間の相互作用に関心がある。結局人間が一番難しい対象で、どのようにインターフェイスを作るかが問題。
ムサビでは、イメージ世代そのままに建築を見ていたが、卒業後工学系の人達と接しながら建築の見方が変わっていった。
小倉:三人に共通する部分は、都市や人間の中に見えるものの中からある対象を取り出すこと、そしてその取り出し方にあるのではないか・・
真壁:我々の時代はプラグマティックなことが建築教育の目的で、過去のインテリジェンスがその前提にあった。これからは建築を考える上でそのような前提を離れて、皆さんが展開している「先端」に向かう必要があるのかもしれない。
しかし、これまでムサビのコアになってきたこと、さらにこれからもコアになるべきことは、人間の知覚をベースにものを捉えることなのだと思う。
・・・白熱した第2部のクロストークが続く中、残念ながら時間となり(学校側からの退去命令もあり)、その後は国分寺のとある居酒屋に場所を移して第3部へとなだれ込んでいきました。
第2部までの参加者ほぼ全員に引続きご参加いただき、大盛り上がりの懇親会となったことは言うまでもありません。
以上が、シンポジウムの概要報告ですが、上記の内容ではよく分からん・・というご批判も多々あると思いますので、参加した皆さん、パネラーの皆さん、ツッコミを含め是非ともコメントをお寄せください。
また、今後徐々に詳しい報告が日月会のHP・会報などで掲載される予定ですので、 それらについてもチェックしていただければ幸いです。
最後に、台風接近にもかかわらず参加いただいた会員の皆さん、源先生、本当にありがとうございました。
それから、準備に協力いただいた助手の長嶋さんと菊池さん、 学生さんに感謝です。
写真撮影:冨重法生
次回も、建築学科50周年に向けてのシンポジウム「日月進歩」が進化系で開催できるよう執行部一同頑張ってまいります。
そしてそれが、今回同様(参加人数では今回以上に)実りあるものとなりますよう、会員の皆さまのさらなるご協力・ご支援を、切に、お願い申し上げます。
会長・16期 更田邦彦