31期の田邊寛子さんにご案内いただいた、「早稲田まちづくりシンポジウム2011」に参加してまいりました。
このシンポジウムは、常設の早稲田大学都市計画 フォーラムと早稲田大学都市・地域研究所+今回の実行委員会が主催したもので、総合オーガナイザーである佐々木葉先生の、「風景とは何か・・」「被災地は風景というものに深い問いかけをし続けています・・」といった疑問・見解から<風景>という切り口で、被災地復興を考える機会としたとのことであります。
午前中国際会議場で開かれた、篠原修先生(土木設計家・東京大学名誉教授)と後藤春彦先生(早稲田大学建築学科教授)の基調講演、ならびに佐々木先生を加えたパネルディスカッションには、300名ほどの参加者が集まり、このシンポにおける皆さんの意識の高さを示しておりました。
篠原先生がおっしゃっていた、
「戦前までの里山や漁村は 、育成の自然と生活の人為がバランスを保っていた<局所的安定>状態といえるが、そこに工作物の人為が加わることで不安定になる。どこにどのような<局所的安定>を設定するかが問題・・」 といったお考え、
また後藤先生の、
「 コミュニティの中でも<住民自治によるコミュニティ>が成立しているところは、健全な生活に向けて機能している。それが復興への<持続性>につながる・・」
佐々木先生の 、
「津波により、人と自然の微細な関係が見えてきたところに、道路などのインフラが問答無用で貼付けられてしまう現在のシステムが問題・・」
といったご意見に大変共感したしだいです。(極めて断片的な内容で失礼)
これまでの復興についての各方面からの情報や意見、さらにこういったお話をうかがっていると、あまりに大規模な地域再生とエネルギー維新に向かう中で、早く20世紀型の復興方針から脱却して(現在政府や官僚はこれまで通りのシステムでとりあえず押し進めようとしているようだが)、近代文明以前のシステムを見直すことが、ある種の合理的な手段に結びつくだろう・・と誰もが気がついているように思います。
午後は3会場に分かれての分科会。
私は、田邊さんがオーガナイズした「美しいくらしと生業の風景へ」に参加しました。
「美しい景観は、美しく健全なくらしと生業の結果」 というテーマで、3名のパネラーのお話に続いてコメンテーターとのディスカッションです。
岩手県田野畑地区からパネラーとして参加した道合勇一さん(NPO 体験村・たのはたネットワーク理事長) から、築いてきた全てのものを失なったこと、でもこれまでやってきた「体験型観光」は間違いではないという信念による復興への意欲に、よく言われる<東北人の強さ>を感じました。また、岩手大学の三宅論先生の、これまでも繰り返されてきた「高所移転」の実状と問題点も実に参考になりました。
このシンポジウムが開催された7月3日は、「311サポート・フォロ」も開かれることになっており、私は途中退席となりましたが、大変身になるお話が聞けたと思っております。
なお、その後の 「311サポート・フォロ」でも、この報告を含めまた違った角度からのご報告と意見交換で多いに盛上がりました。
・・ 「311サポート・フォロ 第2回」のご報告は、また後日当フォロにブログ http://311supportforo.seesaa.net/ にアップいたします。
ご報告まで。
16期 更田邦彦