2015_7 校友会総会 報告

7月4日・5日に開催された、校友会総会・MSBサミットならびに地域フォーラム「アート&デザイン2015埼玉」に参加してまいりました。

蔵造りの町並み

蔵造りの町並み


http://www.msb-net.jp/news/news_event/2015/05/20/9358
(*HPを御参照ください)
川越の蔵造りの町並み

川越の蔵造りの町並み

地域フォーラム「アート&デザイン2015埼玉」は、昭和初期の雰囲気を残すスカラ座を会場にて、建築学科の源愛日児先生の講演からスタートしました。「歴史的都市の変容」と題した課題を蔵の町川越をSITEとして提示、学生に歴史的町並みの重要性を教えたお話をされました。川越蔵の会の荒牧澄多氏からは、1638年に現在の川越の町並みの骨格が形成され、1893年の川越大火によって街の1/3が消失したものの再生された話をお聞かせ頂きました。
シンポジウムでは、立川市立アートギャラリー「アトリア」芸術監督の小野寺優元氏から「アート役割の拡大」と題して思考の重要性について提案が行われました。NPO法人コンテンポラリーアートジャパン理事である松永康からは、地域と美術のあり方が問われました。それらの提案を受け、司会である日月会の青山恭之氏は、「閉塞感」といった切口で、地域とアートそして時代の閉塞感についての意見を聞き出そうと試みたものの、時間切れとなりました。

その後、「川崎アート散歩」と題して、川越蔵の会のメンバーが蔵の町川崎を案内するツアーが開催されました。
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鬼瓦と棟瓦の間に盛られた「カゲ盛」は、川越独特の建築要素であり、独特の存在感を示していました。

雨の中での、町並み見学会

雨の中での、町並み見学会

本黒漆喰

本黒漆喰

蔵の本漆喰は、硝煙を混入させた黒漆喰が磨き上げれています。

今回のイベントを中心的にコーディネートした日月会の青山恭之氏のスケッチ展も開催されました。埼玉新聞に100回に渡り掲載された埼玉建築の原画の一部が展示されています。
会期:7月3日〜7月6日(服部民族資料館にて)
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翌日、総会が行われ、午後にはMSBサミットでは、「校友発掘キャラバンへの推薦」についてのグループディスカッションが行われました。ここでの協議は、今後の本部会議に反映されます。

新学長挨拶

新学長挨拶

2日間に渡る、年に一度の校友会最大のイベントは、盛況の内に閉会となりました。

以上 21期・会長 酒向 昇

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2015_4 フォルマ・フォロセミナー第11回 報告

大洲城天守

大洲城天守

4月18日(土)、木岡敬雄(きおかたかお)さんを新宿サテライトに迎え、第11回フォルマ・フォロセミナーを開催しました。

対談:大嶋信道(大嶋アトリエ 武蔵野美術大学建築学科卒業 17期)
司会進行:岩岡 竜夫(東京理科大学 武蔵野美術大学建築学科卒業 15期)

15期卒業の木岡敬雄さんは、在学中、日本建築史の非常勤講師に来られていた宮上茂隆氏と出会い、その後宮上氏が設立した竹林舎に入所し、平成10年11月、宮上氏の死去にともない竹林舎代表に就任されました。
この間、掛川城天守、大洲城天守等の復元設計や、国泰寺木造三重塔、建長寺客殿「得月楼」等の寺院建築の設計に携わるほか、日本建築史に関わる出版、復元模型の設計と制作、映画、テレビ等の復元考証、監修等に携わって来られました。
今回のフォルマフォロセミナーでは、「歴史と建築の間で」と題して、今まで様々な形で係わってきた復元例を紹介するとともに、それらを通して見えてきた事柄についてお話し頂きました。

講演する木岡さん

講演する木岡さん

宮上茂隆氏

宮上茂隆氏

第1部は、薬師寺伽藍復元の歴史考証の話から始まりました。大坂城の復元では、徳川時代と豊臣時代の本丸石垣の重ね合わせから、それまでの歴史家の見解と異なった発見があったとの話が伺えました。
信長の安土城では、資料の「安土日記」から、天守の構造を紐解いていった経緯や、前代の室町将軍邸の影響についても語られました。
姫路城、大坂城、江戸城の比較では、図面化する事で天守のサイズが権勢の反映である事が如実に示されました。

姫路城、大坂城、江戸城

姫路城、大坂城、江戸城

次に「掛川城天守」と「大洲城天守」の復元実施の関するお話です。
「掛川城天守」は、山内一豊が創建し安政の地震で失われた天守です。少ない資料の中、1990年から1993年まで3年かけて、青森の材木と大工、岐阜の瓦を使い木造で復元されました。


「大洲城天守」は、逆に資料が豊富にあり、既存の重文の櫓をつなぐ形で天守が復元されました。梁などに使用した木曽檜以外は、地元大洲の木材を使い、富山の社寺大工さんと大洲の大工さんとの共同作業で作りあげられました。日本の伝統技術は職人の中にあることを実感されたそうです。
また、再建から10年経ち、地元の方から、当時の小学生だった子供は大人になり、彼らの原風景には始めから復元した天守があったことを伺い、城の復元事業は、建築を作るだけでなく街の活きた歴史を創り出すことだったと、締めくくられました。

第2部は、保存再築だけでなく、現代建築の素材技術への造詣の深い大嶋信道さんとの対談となりました。
大嶋さんは竹林舎という民間企業が、在野で木造城を復元する仕事を生業にしている事を大変評価され、その中で、木岡さんはフリー建築史家として活動していると称されました。

木岡・大嶋対談

木岡・大嶋対談

大嶋さんは、木岡さんの師である宮上茂隆氏と内藤昌氏を、在野とアカデミズムの対立構図で示しました。木岡さんは、内藤氏が資料とした絵図から吹抜けに解釈した部分に対し、宮上氏は図自体の関係が破綻していると攻撃したエピソードを披露しました。新聞に発表された宮上氏の金閣寺新説について、大嶋さんが疑問を投げかけると、木岡さんは、隣接する建物との関係からその正当性を主張する一幕もありました。この立面も木岡さんが書かれたそうです。

吹抜資料を説明する大嶋氏

吹抜資料を説明する大嶋氏

木岡氏が作図した金閣寺立面

木岡氏が作図した金閣寺立面

「火天の城」では建築考証だけではなく、映画のシーンに出てくる指図や模型の元図はほとんど木岡さんがかかれています。原作者の山本兼一氏は木岡さんの案内で「大洲城天守」を熱心に見学され、その経験が執筆の大きな原動力になったとのことです。

江戸城再建の話もでて、その復元が出来る人材は、木造で実際に城を復元した木岡さんしかいない!と、大嶋さんが熱い激を飛ばして対談は終了となりました。

木岡さんを中心に和やかな懇親会が行われました。

木岡さんを中心に和やかな懇親会が行われました。

以上 21期・会長 酒向 昇

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2015_4 平成27年度 進路相談会

恒例の進路相談会を開催しました。
3年生を中心に40名近い学生が参加しました。
今年のパネラーは、

原田将史 (アトリエ事務所主催) 35期
ーーーーー Niji Architects
木村恒介 (美術作家) 40期
野本哲平 (家具ブランド主催) 40期
ーーーーー 民具木平
金田未来 (アトリエ事務所勤務) 42期
ーーーーー 成瀬猪熊建築設計事務所
前田智代 (ランドスケープデザイン事務所勤務) 44期
ーーーーー オンサイト計画設計事務所
籐路大義 (組織設計事務所(商空間)勤務) 45期
ーーーーー 株式会社スペース
紋谷敬一郎 (ハウスメーカー勤務)46期
ーーーーー ポラスタウン開発株式会社

の7名の先輩が自らの考えや体験談を語ってくれました。

現在の活動をプレゼンテーションする木村さん

現在の活動をプレゼンテーションする木村さん

熱心に聞きいる学生さん達

熱心に聞きいる学生さん達

13:30からスタートした相談会は、盛況のうちに17:00閉会。
会場を研究室に移してのお酒も混じった懇親会、
就職に対する不安をもらすシーンもありました。
美大生の力は、自分の思う評価以上です。
くねくねと蛇行する進路を自由に考えましょう。

懇親会

懇親会

日月会会長 さこうのぼる

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2015_4 平成27年度 入学式

新入生の皆様、武蔵野美術大学建築学科に入学おめでとうございます。日月会を代表して、4月6日に鷹の台キャンパスで行われた入学式に参加しました。入学式に相応しい桜の舞う暖かな日でした。image

例年来られて祝辞と落語を披露される林家たい平さんは、ムサビの卒業生であり、学校にも先生として来られているとのことです。

例年来られて祝辞と落語を披露される林家たい平さんは、ムサビの卒業生であり、学校にも先生として来られているとのことです。

げーとまえで記念写真を撮る為に行列が出来ていました。

げーとまえで記念写真を撮る為に行列が出来ていました。

主任教授である布施先生始め、常勤の教授陣から新入生に暖かい祝辞が述べられました。

主任教授である布施先生始め、常勤の教授陣から新入生に暖かい祝辞が述べられました。

日月会は学生と卒業生を繋ぎます。これから始まる建築人生、在学中も積極的に日月会の活動に参加し、楽しく実りある物にして下さい。
本日は、本当におめでとうございます。

日月会会長 さこうのぼる

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「日月シンポ・第6回」開催の報告

今年の武蔵野美術大学建築学科50周年に向けて2011年から企画がスタートしたシンポジウム「日月進歩」はついに節目となる第6回目が10月25日(土)に武蔵野美術大学鷹の台校舎にて行われました。

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例年通り、芸術祭の初日にあたり、今年の芸術祭のテーマは「サーカス」でした。校門から1号館への通りは毎年テーマに合わせて彩られ、行く人を楽しませてくれます。

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今回はシンポジウムはいつもの建築学科研究室ではなく、12号館8F談話室MAUに設けられた「サロン風月」会場内の一画を利用して行われました。

第4回からはテーマを『学生時代に取り組んだ「課題」を通して』として継続し、今回はその最終回の第3弾です。1990年代から2000年代にムサビで学生生活を過ごし、現在、建築設計のフィールドを中心にしてご活躍されているパネラー3名にお越しいただきました。

それでは、パネラーを紹介します。

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伊藤友紀さん (40期) Under 35 Architects exhibition 2014 選出

 

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田中匡美さん (36期) 一級建築士事務所サンゴデザイン共同主催

 

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小泉一斉さん (29期) smart running一級建築士事務所共同主催

 

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そして司会は小倉康正さん (18期) 武蔵野美術大学建築学科講師です。

 

第一部はまず伊藤さんから。

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伊藤さんの頃は、提出模型の大型化や1/1スケール、CAD図から図と絵の中間を行くような図面など、表現が多彩になってきているのがうかがえます。家具や人物など添景を図面に描き込む、また模型にも作り込むというのが主流だったそうです。数学選択で入学された伊藤さんは当初は「とまどった」とのことですが、一貫して身近なモチーフや身体的なスケールから発想され、アイデアを作品に昇華させている過程もよく伝わってきました。住宅作品においても、より大きなスケールの作品においても非常にパーソナルな部分、内側からの発想が貫かれているのですが、詩的表現に自己完結することなく、各プロジェクトが有する多様性をやわらかく包容している様子が印象に残りました。

 

次に田中さんの課題作品です。

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田中さんのプレゼンには、当時の課題文の用紙が提示され、びっしりメモを取られた様子がうかがえます。保坂先生の課題では、精巧な木軸の模型を作られていますが、1FをRCとしたため、総木造の作品に比べ、これでも楽な方だったそうです。入学前に社会人経験のある田中さんの作品は実直なリサーチやマスタープランを元に順序立てて設計されており、オーソドックスな手法を取りつつも、図面や模型の中に膨大なエネルギーと「住」へこだわりが注ぎ込まれているところが印象的でした。バルーンをネットで固定する案や閉じない壁を持つ家などそこに詰められたアイデアもコンセプトだけに傾倒することなく、作品全体とバランスが非常に良く取れているところがよく伝わって来ました。

 

最後に小泉さんです。

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設計事務所の実施図面アルバイトで鍛えたというその手書きの技術は大学時代がピークだったとのことですが、学生の図面とは思えないほど実にしっかりと描かれていました。今日の気分を浅田彰の著作を引用しつつ「シラケつつノリ、ノリつつシラケる」と評した小泉さんは自己の作品を常に「時代」や「社会」の中で捉えて、自在にズームイン(ノル)とズームアウト(シラケ)しながら説明していただきました。「コミットする時代→シラケの時代→相対化する時代→居場所を見つける時代」という一連の流れの中で語られた作品には思わずウンウンと頷いた方も多かったのではないかと思います。緻密に構築された作品の背景に時代や社会に対する秀逸な考察が広がっており、1つの作品からどこまでも広い世界が見渡せるような感覚がとても印象的でした。

 

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第二部は司会の小倉さんからの問いかけでクロストークが広がり、各パネラーの作品に対する執着点や学生時代の様子などが探られ、第一部で提示された作品がをまた違った角度から掘り下げられました。途中、課題の出題者の源先生が当時を振り返って、自ら出題意図の説明される場面や諸先輩方も交えて出題当時を振り返る一幕も。最後にこれまでの50年に対して、これからの50年を見据えたコメントを各パネラーからいただき(そこはあえて省略)、閉幕となりました。

建築学科創設後の50年を、誰もが悩みながらも懸命に取り組んだ「課題」という共通項をもって見渡してみようというこの試みは今回の第3弾をもって一区切りとなりました。複数の個から総体を浮かび上がらせるというこの企画を通じてみなさんにはどのようなことを感じられたでしょうか?絶えず変っていくものと、またずっと変らないものといろいろなものが見えてきたように思います。

 

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17:00~の懇親会は「サロン風月」会場で、校友会支部から提供された地酒なども振る舞われ、あっという間の2時間でした。みなさん大いに楽しまれた様子でした。

34期 内海  聡

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