22回 日月会建築賞

2020年度

開催情報

開催日

2020年9月13日(日)

審査員

審査委員長

林 美樹 16期/Studio PRANA 主宰・第4回長尾重武賞 受賞

審査員

小津 誠一 23期/E.N.N. 主宰・日月会会長
酒向 昇 21期/竹中工務店 北海道支店 設計部長・日月会相談役
篠原 乃生子 25期/アトリエノブリル 主宰・日月会執行部
石井 大吾 37期/Daigo Ishii Design 主宰・日月会事務局長

エントリー作品数

8作品

太陽賞受賞作品

水の柱

古川 隼也 (小西・奥野スタジオ)

受賞のコメント

この度は我々の安全性を考慮した上でオンライン開催して頂き、その上沢山の貴重なご意見を頂きまして誠にありがとうございました。私が今回設計したのは水を構造体とする提案で比較的突飛なアイデアでしたが、丁寧にエスキスを繰り返して相談に乗ってくださった小西先生と奥野先生に感謝しています。最終的には水の構造体を明確にできたので満足です。私は水と建築と都市の関係は永遠のテーマだと思っているので、これからも勉強し続けていきたいです。

満月賞受賞作品

心の拠り所

飯島 あゆみ (高橋・針谷スタジオ)

受賞のコメント

この度は大変な状況の中、日月会建築賞を開催して下さりありがとうございました。自分の作品を丁寧に講評してもらえる貴重な経験を詰めたこと、2つの賞を頂けたこと、大変嬉しく思います。
今回の課題では自粛期間中、不安を抱える人々に向けて心の拠り所となる建築を設計しました。とても主観的な感情を形としてまとめること、人に伝えるための表現方法などたくさんの学びがありました。
不器用ながら試行錯誤して作品をつくる難しさに向き合いながら作品をつくる喜びを忘れないで精進していきたいです。

三日月賞受賞作品

rittle forest time

海江田 篤 (小西・奥野スタジオ)

受賞のコメント

この度は、このような素敵な賞を頂き光栄に思います。今回の設計では、構造と建築のバランスに思考の重点を置き秩序を持った構造デザインについて考えた。商業施設と宿泊施設の在り方から考え、C L T菱形架構を用いて複合施設としての付加価値のgiftを提供する計画を試みた。
この講評会で様々な方から頂いた貴重なお言葉をこれからの設計課題で活かしていこうと思いました。また、この結果に満足せず悔いの残る面も多くあったので反省し改善していこうと思います。

新月賞受賞作品

心の拠り所

飯島 あゆみ (高橋・針谷スタジオ)

満月賞と新月賞のW受賞のため、コメント・作品画像は、上記満月賞の欄に掲載。

七夕賞受賞作品

行為のタッチ

黎 鎮華 (源・田宮スタジオ)

受賞のコメント

評価していただいて嬉しいです。コロナが続く中、人々が出掛けを控え、建物のなかに閉じ込められてしまい、しかし、建物中のような密閉空間も同時に懸念されています。そうを考えると少し矛盾だと気がします。大きな建物ほど、共用な換気システムを持ち、ウィルスも拡散しやすくなります。
そこで、公園と美術館のような公共建築を物理的なタッチではなく、流動な丘で多様な空間体験を作り、人の気持ちから行為まで影響できるではないかと思っていました。

審査員評

審査委員長:林 美樹(16期・Studio PRANA 主宰・第4回長尾重武賞 受賞)

オリンピックで沸くはずだった2020。コロナウイルスという名の小さな構造体に振り回されることになると誰が予想できたでしょうか。
キャンパスでの対面授業ができない中、今年の日月会賞の審査はオンラインでの開催となりました。
エントリーは例年より少ない8作品でしたが、それぞれ力作で見応えがありました。画面越しのプレゼンは、学生さんにとっては何回も同じ話をするという点では面倒なことだったかもしれませんが、回を重ねると緊張もほぐれ、ある意味良い練習になったようでした。ただ、賑やかなギャラリーは欲しいですね。オンラインであっても、もう少し他の学生さんやOB、教員が参加してくれるとよかったのにと思いました。
周到な準備をしてくださった日月会の担当者の皆様、お疲れ様でした。4年生はアシスタントとして、また先輩として堂々とコメントをしてくれたのには頼もしさを感じました。

 

審査委員たちの意見が様々だったように、建築を通して解く答えは一つではありません。個人の住宅であったとしても、様々な面で社会性を持っています。つまり、多様な意見を聴くことは建築を考えるための基本であり、またその中で今必要と思われることを取捨選択し、再構築していかなければなりません。社会が求めるものは、時間とともに変わっていきます。今回の日月会賞での評価も、そんな今が反映されているのです。

最後になりますが、私が日月会に関わっていた時に創設した「日月会賞」が22回目(!)となってしっかりと育っていることをとても嬉しく思いました。

 

パラダイムシフトが確実に進む今、学生のみなさん、未来はあなた達の双肩にかかっているのですよ。
ひとつひとつの小さな経験を大切に温めて、大きく羽ばたいてくれることに期待しています。

審査会当日の様子

9月13日(日)、コロナ禍によって開催が危ぶまれた第22回日月会建築賞がオンラインで開催されました。
毎年、春期後半に鷹の台キャンパスにて行われますが、今年はコロナの影響でZOOMを使ったオンラインになりました。
一時は中止も検討しましたが、執行部会で時間をかけて開催方法を検討・準備し、なんとか2か月遅れての開催にこぎつけました。
残全ながら、応募作品は例年25作品程度のところ8作品に留まりましたが、学生側からも見通しの効かない状況下で致しなかったかと思います。

 

開催方法は、エントリー時に作品データを提出してもらい審査員は事前に目を通したうえで、当日はZOOMのブレイクアウトルームという分科会のような機能を使い、全体を幾つかの部屋に分けて審査を行いました。キャンパスで各出品者の作品を審査員・OBがヒアリングして廻るのと同じイメージです。

 

当初24作品の応募を想定し、学生・審査員・参加者を6グループに分け4作品ずつ一部屋で講評をして行くという流れを準備したが、急遽出品数に合わせて各部屋1作品の8部屋に変更しました。結果、1学生に対し2~3名のOBが各20分かけて講評する、という学生にとってはとても充実したものとなりました。

 

各部屋の様子は互いに見ることが出来ないので全体を把握することは出来ませんでしたが、その分学生には、完全に隔離された状況で次々とやってくるOBが全く違った印象のことを指摘する、という貴重な体験になったことと思います。

 

審査メンバーは、審査員長に例年通り前年の長尾重武賞受賞者として16期卒業の林美樹さんをお招きし、その他は開催の特殊性を懸念して小津会長以下日月会執行部メンバー4名としました。

 

出品は、小西・奥野スタジオ、高橋・針谷スタジオから各3名、菊池・三家スタジオ、源・笹口スタジオから各1名、の応募がありました。

 

以下、当日の様子です。

 
 

 

 

13:00
審査を開始、前述のように20分ずつ各学生の部屋を廻った。
学生からの発表が5分、その後は質疑応答という形だったが、やはり8回連続してプレゼンテーションを行った甲斐あって、後へ行くほど学生の発表がスムーズだった。

 

 

16:30
審査終了。

 

17:00
投票終了。
1次審査は、各自持ち点10点を1作品最大4点までとして投票。
審査員による三賞は、今回は作品数が少ないうえ全ての作品に複数の投票があったことから、全員2次審査へ進むこととなった。
審査員以外の参加者選出による新月賞は比較的順調に決まったが、「三賞とは違った評価軸」というコンセプトがはまった結果になった。
4年生選出による七夕賞の審査は白熱したようで、2次審査の時間まで延長して行われた。
議論をぜひ聞きたかった。

 

集計後、公開2次審査開始。
2次審査はメイン会場で全員参加の中、審査員が各作品への評価点、否評価ポイントを講評した後、参加OBも含め再度質疑応答を行い、議論を経て審査員による再投票によって受賞者を決定した。
白熱した議論によって1次審査からの一部逆転もあり、オンラインながら盛り上がった。

 

19:30
表彰式、受賞者コメント、審査員コメントを経て20時に無事終了。

 

20:30
懇親会(日月会夜塾)・・オンライン飲み会?・・・深夜終了。

 

 

因みに今回のオンライン開催では、ZOOM以外に、以下のような機能を使用して審査・採点・集計を行った。
・作品の収集、回覧(閲覧)、書類の共有は、「ドロップボックス」で。
・採点やコメントは、「グーグルドキュメントのスプレッドシート」を共有。リアルタイムで結果を共有出来、オフライン開催時よりもスムーズに処理出来た。

 

今年の日月会賞は、皆さんのご協力のもと、慣れないオンラインで手探り状態ながら思ったよりスムーズに会を進めることが出来ました。最終的な参加人数は、出品者8名、審査員5名、OB11名(非投票参加者・日月会執行部員含む)、学生7名、計31名となりました。来年も未だコロナの影響が残ると思われどんな開催条件になるか分かりませんが、どんな形でもムサビ力でより充実した会に出来る自信がついたと思います。

 

もし来年もオンラインで行われるとしたら、今年以上の盛り上がり・・特にオンラインならではの全国からの参加・・を期待しています。
皆様来年も宜しくお願い致します。