「日月シンポ・第7回」開催の報告

シンポジウム「日月シンポ・第7回」が10月25日(日)に武蔵野美術大学鷹の台校舎にて行われました。昨年が建築学科創設50周年であったため、2011年から企画がスタートしたもので、芸祭期間中にホームカミングデーとして開催してきたものです。

正門のゲート、本年の芸祭テーマはスパイ

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テーマ  建築とケンチク ~50周年記念出版をめぐって~
建築学科創設50周年を記念して出昨年版された「地平線を超えて」と「設計課題を語る」。
その2冊に関わった方々をお招きしてムサビ建築(ケンチク)の特徴を探ろうとするものです。
今年で3回目となる校友会主催の模擬店 12号館8階「サロン風月」を会場に行いました。

パネラー
臼田桃子(武蔵野美術大学建築学科研究室助手)「地平線を超えて」(研究室編)編集
尾内志帆(39期 株式会社慶應学術事業会) 「設計課題を語る」(日月会編)編集
山道雄太(株式会社フリックスタジオ)     上記2冊の編集協力
金子祐介(建築史家)             「設計課題を語る」編集協力
小倉康正(18期 武蔵野美術大学非常勤講師)「日月シンポ」1回から6回まで司会

司会進行
小林敦(18期 武蔵野美術大学非常勤講師) 

座談会スタート

座談会スタート


司会の小林さんより、研究室が中心となって学科50年のカリキュラムや先生、校舎の変遷を中心にまとめ「地平線を超えて」と、日月会が卒業生の様々な活動をアーカイブするために、設計課題を切り口にまとめた「設計課題を語る」、の2冊を作ったという紹介がありました。

「地平線を超えて」を担当した臼田さん

「地平線を超えて」を担当した臼田さん

他校から武蔵美の助手になり、今回の編集を担当した臼田さんは、改めてムサビの建築学科の歴史の深さと卒業生の層の厚さを感じ、ムサビの多様性という印象を語られました。

「設計課題を語る」を担当した尾内さん

「設計課題を語る」を担当した尾内さん

尾内さんは自らの編集の実務経験から、今回のボランティアが「編集する私、編集される私」を考えさせられる契機となったことを話されました。

上記2冊の編集協力して頂いたフリックスタジオの山道さん

上記2冊の編集協力して頂いたフリックスタジオの山道さん

自身が芝浦工業大学出身である山道さんは、こういったアーカイブは卒業生のアイデンティーであり、掘り起こす活動の重要性と大変さについて語って頂けました。

「設計課題を語る」の編集協力頂いた金子さん

「設計課題を語る」の編集協力頂いた金子さん

金子さんは、都合によりスカイプでの参加となりました。ご自身の文化庁でのオーラルヒストリー取材の経験も交え、作家や対象となる人物をヒロイックではなく客観的に捉える視点の重要性を訴えられました。

「日月シンポ」1回から6回まで司会をされた小倉さん

「日月シンポ」1回から6回まで司会をされた小倉さん

小倉さんは、過去6階に渡る日月シンポの中で、建築設計を生業としない卒業生中心に座談会を進めた1回から3回に注目し、卒業生の広がりが、単に多様性という以外の拡張性を持っているのでは無いかという発議をされました。

編集委員は、「課題」を通じて集められた多くの情報を編集したわけですが、パネラーの皆さんは、今後どの様にそれを共有して行くかが、課題だと認識されているようでした。2003年に建築学科の教授の体制が大きく入れ替わり、それと共に、共通絵画や共通彫塑と言った学科内での造形基礎教育が、造形総合というカリキュラムとなり、他学科の授業を受けられるようになった事が、大きな変革時期だったのではないかとの意見が出ました。一方で、芦原先生が作られた「設計計画」という言葉に含まれた、「具体的な課題を通じて計画を学ぶ」というムサビ建築の中心部分は変わらず息づいています。

課題年表について議論を重ねるパネラー

課題年表について議論を重ねるパネラー

金子さんから、建築は社会活動の中で整理すべきだとの意見が出され、建築学科卒業生1期である相沢先生の行なってきたサーベイの話を端に、学生の自主的な課外活動の重要性にまで話が及びました。

1時間30分という短い座談会の中で、結論目いたものは出ませんでしたが、昨年50年という節目に、資料をまとめた意義は確認出来たようです。本年は「サロン風月」の都合によりシンポが日曜日の開催となったために、参加者が少なかったのが残念でした。

ホームカミングパーティー

ホームカミングパーティー

日月会は次の50年に向かって、皆さんと共に歩んでゆきます。更なる建築学科の発展拡張を期待します。

以上 21期・会長 酒向 昇

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